大ケガを負って「相撲をやめよう」と思った栃ノ心が再起できたわけ (4ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki

 2013年名古屋場所の5日目、徳勝龍戦でした。その取組で、私は右ヒザの前十字じん帯を断裂。内側副じん帯も損傷するという、大ケガに見舞われてしまったのです。

 当然、翌日からは途中休場。さらにその後、秋場所(9月場所)、九州場所、翌2014年の初場所まで全休となって、私の番付は幕内から、一気に幕下55枚目まで落ちてしまいました。

 その時は、悔しいという以上に、情けなかったですね。

 2カ月に及ぶ入院生活中は、ほとんど歩けないし、明らかに運動不足でしたから、体重はどんどん増えてしまいました。体重の増加は、負傷したヒザにさらなる負荷をかけることになります。おかげで、退院後はリハビリとともに、ひたすらダイエットに励んでいましたね。

 そうして、入院前より増えていた体重も、ケガをする前の体重まで戻すことができたんですが、リハビリ中は、さすがに「もう相撲をやめよう......」と考えたこともありました。

 私だけでなく、ヒザなどのケガで1年以上休場していた力士が、あきらめずにリハビリに励んでいることは知っていましたし、過去に苦しいリハビリを経て、復活した力士の話も聞いていました。今も、幕内で土俵を沸かせていた宇良が、序二段まで番付を下げながら、復活に賭けて奮闘しています。

 けど、リハビリの時間というのは、とても長く感じられ、非常につらいものです。当の本人としては「本当に復活できるんだろうか」と、不安に苛まれるわけですよ。

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