錣山親方が惜しむ豪栄道の引退。春場所の注目は力強い相撲が戻った正代 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 注目力士と言えば、関脇の正代。先場所では、千秋楽まで優勝争いに加わり、13勝を挙げて"準優勝"という結果を残しました。その勢いは本物で、今場所でも要チェックの存在です。

 そもそも正代は、東農大2年の時に学生横綱に輝いた実力者。4年時にビッグタイトルを獲れなかったため、角界入り後は付け出し資格を得られず、前相撲からのスタートだったものの、柔らかい体から右四つで寄っていく相撲は、当時から光っていました。

 そうして、順調に出世して、初土俵から11場所で新入幕(2016年初場所)。その翌年の初場所では三役昇進を果たしています。ところが、どういうわけか、ここ1、2年ほどはその実力が発揮できておらず、やや低迷。前頭の中位をうろついていました。

 それが、先場所あたりから、正代本来の力強い立ち合いがようやく見られるようになり、彼が番付を駆け上がってきた頃のような、速い攻めの相撲が戻ってきました。初日の徳勝龍戦でも、そうしたいい面が出ていましたから、今場所も大いに暴れてほしいものです。

 若手で気になる存在を挙げるなら、今場所新入幕を果たした22歳の琴ノ若です。初日を見る限りでは、新入幕というプレッシャーを感じさせず、のびのびとした相撲を取っていると思います。

 父親は元関脇の琴ノ若(現・佐渡ヶ嶽親方)で、祖父が元横綱の琴櫻という、相撲界の"サラブレッド"。当初は、攻めが遅い印象がありましたが、最近はよく前に出るようになってきて、体に重さが出たというか、体に力がついてきたように思います。

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