2020.03.13

錣山親方が惜しむ豪栄道の引退。
春場所の注目は力強い相撲が戻った正代

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 おかけで、誰かが感染被害に遭ってしまわないか、日々心配でなりませんし、私自身はその恐怖感でいっぱいです。一日中、新型コロナウイルス関連のニュースをチェックして、新しい情報を得ることを心がけているため、ここ数日は、夢の中でもそれらのニュースに振り回されているほどです。

 私だけでなく、各部屋の師匠も、不安でたまらないと思います。とにかく今は、全力士が何事もなく、15日間の相撲を取り切ることを祈るのみです。

 さて、この春場所の初日は、白鵬、鶴竜の両横綱に、大関・貴景勝の上位陣がそろって白星。幸先のいいスタートを切りました。

 場所前に行なわれた二所ノ関一門の連合稽古の際には、貴景勝は(初日の相手となる元大関の)高安とは分が悪い印象があったのですが、本場所の取組では、貴景勝の集中力が違いましたね。押し出しで圧勝。その強さには、驚かされました。

 逆に、初日の相撲で少し硬さが見られたのは、関脇・朝乃山です。昨年の九州場所(11月場所)で、小結で11勝。先場所の初場所(1月場所)では、関脇で10勝を挙げて「大関候補」に名乗りを上げた、ということが影響しているかもしれませんね。

 ともあれ、大関昇進の基準は「三役で直近3場所33勝」ですから、朝乃山は今場所で12勝すれば、昇進への期待が膨らみます。硬さが見られた初日も、隠岐の海に何とか勝って、2日目も徳勝龍を下して2連勝。先の初場所後には、長らく大関を務めてきた豪栄道が引退し、大関は現在、貴景勝ひとりということを考えれば、昇進への追い風は吹いている、と言えるのではないでしょうか。

先場所を最後に、現役引退を決めた豪栄道