桃田賢斗、現状は3割程度の動き。逆境からの金メダル獲得なるか (5ページ目)

  • 平野貴也●文 text by Hirano Takaya
  • photo by AFLO

 次に、あまり考えたくないパターンだが、復調が遅れて試合に出た場合、桃田からの金星を狙って全力で挑みかかる相手に早期敗退を喫する可能性も捨て切れない。そうなると、1大会と言っても1、2試合しか経験できないことも起こり得る。その点、中西コーチは「団体戦のトマス杯に間に合うようであれば、桃田個人には利点があるかもしれない」と思案を巡らせていた。

 日本が弱小国であれば、桃田が勝ってもチームとして敗退する可能性があるが、現在の日本の総合力を考えると、チームとして上位まで勝ち上がる可能性が高く、選手は多くの試合経験を積める可能性がある。桃田が出場すれば、世界ランクがもっとも高いために第1シングルスでの起用となり、相手のエース格と戦う。万が一、個人で敗れても、チームとしてはある程度勝ち上がれる公算が高い。つまり、質の高いゲームを多くこなせる可能性の高い大会と言える。

 もちろん、国の威信をかけた戦いで、負けてもいいということはない。桃田自身も団体戦ではとくに責任感を強く感じて臨むだけに、無理をしてしまう可能性も考慮しなくてはならない。状態によっては慎重な起用法になる可能性もあるが、もし順調にコンディションが回復するならば、トマス杯はさらなる復調のきっかけになり得る要素を多く有していると言える。

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