小林陵侑の活躍で男子ジャンプはレベルUP。W杯札幌大会で成果を見た (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

「昨日の予選は18位とよくなかったので、今日はアプローチ姿勢を組んだあとは何もしないと考えて飛びました。いつもはよくないと短い助走の中で意識するところを変えたりしていましたが、成績が安定しない原因はそれだと思ったので。

 僕が飛んだあとの選手はみんな条件が悪くて、カミル・ストッフ選手(ポーランド・W杯総合5位)の条件を見たら、絶対に飛べないなというくらいだった。小林が降りてきた時に『ごめん、俺が全部もらっちゃったわ』と言ったら、僕の順位をわかってなかったみたいで、『えっ、幸椰さん優勝ですか』と言われました」

 こう言って笑顔を見せる佐藤は、「この難しい大倉山の条件の中で優勝できたのはうれしいですが、少しフェアじゃなかった感じもするので、ちょっと残念な気持ちもあります。でも応援に来てくれたファンが喜んでくれたのはうれしい」と複雑な胸中を口にした。

 161cmと小柄ながらも、力強くインパクトを与える飛び出しで、空中に出てからは動かずに我慢し続ける技術があったからこそ、チャンスを生かして勝利できたとも言える。

 しかし2日目は風に恵まれず、1本目10位のあとの2本目は、「納得できる距離を飛びたいと狙いすぎた」と力んでしまい、順位を16位まで下げた。それとは逆に小林はしっかりと力を見せてきた。1本目は少し力の入る踏切になって128.5mの4位。2本目は彼の時からゲートが1段下げられ、向かい風0.97mとそれほどいい条件ではないながらも132mを飛んだ。そのあとのガイガーとクバツキのときは風がさらに弱まり、小林が3位になって、今季7回目の表彰台に上がった。

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