世界の走りをタダで。東京五輪・自転車ロードの観戦エリア拡大に期待 (4ページ目)

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 門脇 そら●撮影 photo by Kadowaki Sora


 それに合わせ、通過を心待ちにしていた観客たちが、これまでの上り坂から一転して下り坂となった道志みちの出口へと目を向ける。すると、トップの選手に続き、集団が全速力で次々と下り坂を駆け降り、平野交差点から山中湖を回るカーブを曲がって行くのが見える。

 特に、道志みちの出口となる下り坂で加速したまま、そのスピードでカーブを曲がっていく選手たちの迫力に、多くの観客たちが魅了されていた。

 1回目の観戦が終わると、選手たちは一度、静岡県の富士スピードウェイを回ってから再び山中湖周辺に戻って来る。

 そのため、2回目の観戦までのおよそ1時間、自転車ファンと、普段は自転車レースとはあまり触れあうことがない地元住民が、「自転車競技の見どころは何なのか」「選手たちは今どこを走っているのか」「どんな応援をすればいいのか」などなど、一緒になって自転車の話で盛り上がっていた。

 平野交差点での2回目。

 そこに現れた選手たちは、「今回のコースは過酷なサバイバルレースとなる」との栗村氏の言葉通り、その数がほぼ半分に減っていた。しかも、1回目のような集団ではなく、数人の選手がいくつにもばらけて通過する状況で、選手たちの表情にも疲労が色濃く浮かんでいた。

2回目の平野交差点を通過する選手たち。レースはサバイバル戦の様相に2回目の平野交差点を通過する選手たち。レースはサバイバル戦の様相に
 だが、このガチンコ勝負が多くの観客たちを燃え立たせたのか、平野交差点には1回目以上に熱のこもった声援がこだまする。それに応えた選手たちは最後の力を振りしぼり、2回目のカーブを駆け抜けて行った。

 そんな一流の走りを目と鼻の先の距離で見ることができる平野交差点のバス待合所・観光案内所は、選手たちのリアルな鼓動を体感できる、まさにフリー観戦にふさわしい場所のひとつだと言えよう。

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