福島由紀&廣田彩花が詳細に語る。日本のライバルと金メダルへの課題 (3ページ目)

  • 平野貴也●取材・文 text by Hirano Takaya
  • 松岡健三郎●写真 photo by Matsuoka Kenzaburo

 アメリカンベイプ岐阜の今井監督は「攻撃力はたしかに課題ですけど、自分たちの力は、精一杯出していると思います。改善できるとすれば、ロビング。下(低い位置)からの球出しは、もっと成長できると思います」と話したうえで、プレー面とは別の課題を指摘した。

安定した成績を挙げているフクヒロペアだが、まだまだ成長の可能性がある安定した成績を挙げているフクヒロペアだが、まだまだ成長の可能性がある「あの2人は、したたかさが足りない。相手がバテるか、諦めるかという試合にならないと、勝ちパターンにならない。ハッタリをかますとか(予測の)ヤマをかけるとか、そういう駆け引きで糸口を探す考え方が身についていないように感じます。秋は福島のほうがミスをして崩れました。いいコースを狙うからリスクはつきものなのですが。気にせずに戦い、勝負師に徹してほしかった部分はあります。

 廣田は、すごく性格のいい子なんですけど、『自分は下手だ』というコンプレックスがあるように思います。どの競技でも同じですけど、不思議なことに、選手というのは『強い』というよりも『うまい』と言われたがります。そのコンプレックスが、不安として相手に見えてしまっているところがあるかもしれないと思う時はありますね」

 2人が土壇場で強くなるのは、守備で粘れた試合だ。反対に、駆け引きで後手に回り続けると跳ね返せない。勝つためのメンタルコントロールは、安定感の上にさらなる勝負強さを足すためのポイントかもしれない。

 2020年は五輪イヤーだ。ほか2組の日本のペアと高めあってきたレースも終盤戦に入る。福島と廣田は、五輪レースの先頭を走り続け、出場権を確定させることが第一だが、目標である金メダル獲得の可能性を高めるための努力を続けていく。

 今井監督には、4月まで続く五輪レースで期待していることがある。「五輪の金メダルは、日・中・韓のどのペアにも優勝の可能性があると思います。これまでの五輪レースを20年間見てきましたが、レースの中での優勝回数が多いペアが強い印象を受けています。19年は3大会優勝していますけど、金メダルの可能性をもっと高めるためには、あと2回優勝が欲しいです」と課題を提示した。

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