三谷紬アナが入社2年目でまさかの目標達成「母に電話して号泣しました」 (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 立松尚積●写真 photo by Tatematsu Naozumi

―― 逆に、今まで忘れられない失敗エピソードはありますか。

三谷 失敗談ではないのですが、実況する際の語彙が少ないことに対して反省することはあります。実況をつける時によく「チャンスになる」と言ったり、ショートが決まるとすぐ「ゴール!」と言ってしまったり。

 毎回私の編集された「アナカメ」を見るといつも同じことを言っていて。それを見かねた(寺川)俊平さんから「三谷さん、『ゴール』と『チャンスになる』はNGワードにしよう」と提案されたんです。

 それからはもう大変で。「ゴール」と「チャンスになる」をどういう言葉で言い換えたらいいのかというのが頭の中ですぐに浮かんでこなくて。結果、自分の中で他の言葉が見つかるまではタジタジの実況になってしまったり、泣く泣く同じ言葉を使ってしまったり。

 そういうこともあり、今は俊平さんや進藤(潤耶)さん、吉野(真治)さんのアナウンス部の先輩たちの実況を聞かせてもらって、学んでいます。例えば「ゴール」は、「ネットが揺れた」とか、いろいろ言い方があるし、なるべく違った言葉で伝えようと心掛けています。

―― 取材をするうえで気をつけていることはありますか。

三谷 ミックスゾーンでの取材となると、番組として選手に言ってほしい言葉を持った状態でインタビューをさせてもらうことが多いんです。けど、私たちの意思は選手のみなさんは当然知らないので、どうしても言ってほしいことを言ってもらえないこともあります。そのたびに「残念だったな。せっかく時間をもらったのに、番組として欲しかった話を聞けなかったし、選手もしっくりきてないのかな」というようなことが、最初はありました。

 なので、聞き方をすごく考えるようになりました。あとは、選手との関係性みたいなのをちゃんと築けるように心がけています。試合に行ったら、「来てますよ」というのをアピールするために選手の前にちょっと姿を見せるとか。

 ほかには、例えば、私と隣り合わせでインタビューしますってなった時に、サッカー番組ではありますけれども、選手の素の部分とか、この人はこういう人間性があるんだよ、というところまで伝えたいと思っているんです。

 私に対してそれを見せられないと思われてしまうとマイナスになりますし、当然、番組にとってもいいことではないので、選手に素の部分を見せてもらえるように、試合に行って、ミックスゾーンから出てきたら世間話じゃないですけど、「今日は結構動いていましたね」みたいなことで話を温めておいて、後日インタビューする時になるべくカメラやスタッフにも慣れてもらえるようにと...最近はしています。

―― 改めて番組の魅力を教えてください。

三谷 それは、サッカー選手をひとりの「人間」として伝えているところだと思います。『やべっちF.C.』という番組は、サッカー選手をただアスリートとして見るのではなくて、ひとりの「人間」として垣間見ることができるというのが、この番組のよさだと思っています。

 サッカーとかスポーツをやっている人ってその姿しかなかなか見られないですし、練習もたまに見られるかもしれないですけれど、それもやっぱりサッカーに携わっている人として練習を見るわけじゃないですか。

 でも、実際は、奥さんの前でのサッカー選手はどんな感じなの?とか、選手同士でご飯を食べに行っている時はどんな感じなの?とか。サッカー選手のサッカー選手じゃないところを見られるというのが、『やべっちF.C.』の唯一無二の魅力だと思っています。

―― プレーの魅力だけじゃなく、プライベートも含めて選手の魅力を伝えていきたいんですね。

三谷 そうですね。そこがやっぱり一番です。今、サッカーファンって一定数いるとは思うんですけど、そこからどんどん増えているかと言ったら、そうではないように感じているんです。

 じゃあどうやってファンを増やすかというと、サッカーを好きになってもらうのはもちろんですが、アイドル的な感じで選手自身を好きになってもらって、その延長線上でサッカーを見てもらえればいいなと思っているんです。

 そうなった時に、サッカー選手って一人ひとりのキャラクターが当然違っていて、みなさんすごく面白いですし、個性があって、でも真面目で。たまに、「チャラいんでしょ」とか言う人はいますけど、そうじゃないんだというのをぜひ多くの人に知ってもらいたいなと思っています。

(後編につづく)

Profile
みたに・つむぎ 2017年入社
94年4月4日生まれ 千葉県出身 身長162cm
好きな言葉:「時間は平等 工夫は自由」
趣味:スポーツ観戦 特技:舌が自在に動くこと

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