ケイン・コスギも苦しんだ。悪天候の「SASUKE」の恐ろしさ (5ページ目)

  • 本田雄士●撮影 photo by Honda Takeshi 協力/TBS


 ここで、僕は過去にニューバランスを履いて1stステージをクリアした経験があることを思い出しました。クリアした経験があるのであれば、少々摩擦の劣るニューバランスを履いてでも、夜露に対する不安を完全に消した状態で挑戦した方がいいのではないか? 1年間履いていないとはいえ、過去にクリア経験のあるシューズ。3週間も履けば十分に感覚は取り戻せるはず!

 そう考えた僕は足袋をやめ、ニューバランスで1stステージに挑戦することを決意。結果、その大会の1stステージを無事にクリアすることができました。

1stステージ第3エリアの「ウイングスライダー」は、両手足を壁に突っ張って衝撃に耐える。摩擦が最も重要となるエリアのひとつ(第36回大会)1stステージ第3エリアの「ウイングスライダー」は、両手足を壁に突っ張って衝撃に耐える。摩擦が最も重要となるエリアのひとつ(第36回大会)
 もちろん足袋を履いていてもクリアできたかもしれませんし、逆にシューズを履いても滑っていた可能性だってある。一発勝負のSASUKEだからこそ「なんとなく」ではなく、自分の性格的に納得のいく思考の過程を経て、決断することが重要だと思っています。

■コントロールできることに集中する

 ここまでいろいろとSASUKEにおける環境への対応方法を解説してきましたが、最も重要なのは「コントロールできることに集中する」ということです。

 例えば天気。僕も昔は、本番の何日も前から数十分おきに予報を見て当日の天気の推移をチェックしていましたが、天候は自分の力ではコントロールできません。

 自分の出番で夜露が大発生するかもしれない。にわか雨が降るかもしれない。霧が出るかもしれない。でもそれはコントロールできるものではない。だから「仕方ない」と割り切ること。

 SASUKEプレーヤーは皆、半年ないし1年間ずっと、本番で結果を出すことだけを考えて厳しいトレーニングに励んでいます。その日をベストコンディションで迎えられれば言うことなしですが、運悪く最悪の環境で本番に臨まなければいけない場面だって出てきます。

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