「SASUKE」の完全制覇者は収録日に本番まで何をやっているのか (2ページ目)

  • 本田雄士●撮影 photo by Honda Takeshi 協力/TBS

 
 ここで「何をすればクリアできるのか」という答えが明確に提示されるので、例えば新エリアが登場したときなどはこの段階である程度の攻略法を考えます。自分だけではわからない場合は近くの仲間に相談するなどして、有力選手の一番合意が取れるやり方というのを見つけ出します。自分だけが違うやり方を考えていたときなどは頭の中で軌道修正を行ないます。

 例えば、「フィッシュボーン」のバーが増えた回のときには、仲間内で僕だけがバーが増えたことによって変わる動きに気づいておらず、助言によって事なきを得たということもありました。コース説明における観察と情報収集というのは、その日の自分の競技結果にかなりの影響を及ぼします。

 また、このコース説明の際はエリアの付近に100人の出場者がひしめいています。ですから、僕はなるべく最前列をとるようにしています。後ろのほうに紛れてしまって大事なシーンを見逃してしまうというような事態を避けるためです。

■待ち疲れをしないために

 いざ、競技が始まっても自分の番がくるまでにはまだ10時間以上あります。

 SASUKEの1stステージは、だいたいひとり5分程度の収録時間を見越しています(選手と選手の競技の間にコースを拭いたり安全確認をしたりする時間が必ず挿入されるため)。仮にゼッケン50番だったとしても、ゼッケン1番の競技開始から約4〜5時間待たないと自分の出番にはなりません。

 この間、ずっと気を張ったり、ずっとコースに併走してほかの選手の応援をしたりしているわけにはいきません。僕もかつて経験があるのですが、自分の夢の舞台で、特設スタンドに観客が大勢いて、競技スペースの付近には軽食の屋台なども出ている。お祭りのような空間に舞い上がってしまって、一日中ほかの選手の競技を立って見ていたことがあります。

 が、案の定大変なことになりました。まるで何時間もディズニーランドを歩き回ったあとのような感覚で、足はパンパン。とてもじゃないけど普段のパフォーマンスなんて出せるわけがありません。

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