「自分より人気があるんじゃないか?」御嶽海が嫉妬したのは母だった (3ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki

 蒸し暑い日が続く名古屋場所は「体調を維持するのが難しい」という力士が多いのですが、フィリピン生まれの僕は苦手意識がありません。初日、阿炎に勝ってから、なんと11連勝。12日目の相手は、同じく日本とフィリピンのハーフの高安関でした。普段から仲がよく、僕の弱点もよく知っている高安関には敗れましたが、13日目に大関・豪栄道関、14日目に栃煌山関に勝って、なんと14日目に初優勝が決まったのです!

「優勝しても泣かない」って決めていたんです。でも、千秋楽の表彰式の時、優勝インタビューが始まると、勝手に涙が流れてきてしまって......。

今後のさらなる活躍が期待される御嶽海今後のさらなる活躍が期待される御嶽海 長野から駆けつけてくれたお母さん、応援団のみなさんも大喜びしてくれていました。この時、マス席に座っていた姿が、テレビの中継画面に何度も映ったことで、僕のお母さんは有名人になってしまいました。名古屋場所が終わったあとの巡業では、お母さんがファンの方々からサインや写真撮影を求められたりして、「僕より人気があるんじゃないか?」と、嫉妬しちゃったくらいです(笑)。

 その後、大相撲解説者の北の富士さんと話す機会があったのですが、「おまえの母ちゃん、金星(美人)だな」と言われて......(笑)。悪い気はしなかったですね。

 それはさておき、関脇の地位で優勝した僕は、続く秋場所では"大関取り"がかかっていました。ところが、9勝に終わった僕は、九州場所でも負け越し......。"大関取り"は振り出しに戻ってしまいました。

 年が明けて、今年の初場所は、僕にとって試練の場所になりました。初日、横綱・稀勢の里関、2日目に横綱・鶴竜関に勝って5連勝。それなのに、6日目の妙義龍関との相撲で左ヒザを痛めて、7日目から休場。目の前が真っ暗になりました。

 それでも、治療に集中した結果、11日目から再出場を果たすことができました。気合を入れ直して臨みましたが、その日の対戦相手は、なんと10連勝中の横綱・白鵬関でした。

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