アジア2位に終わった中部電力。
課題続出もそれが世界一への糧となる

  • 竹田聡一郎●取材・文 text&photo by Takeda Soichiro

 ゲームの入りから最善のショットが決まらない中部電力。対照的に、中国は高い精度でドローを決め続ける。ショットセクションはどうしても後手に回ることとなり、そのショットすら狙いどおりに運べない、という悪循環に陥ってしまった。

 第1エンドで2点を取られ、「焦ってしまったかもしれない」と、スキップの中嶋星奈は唇を噛む。

「すぐに2点を取り返せなくても、しばらくクリーンな展開を続けて、アイスがつかめてから攻めればよかった」

 中嶋が言う「クリーンな展開」とは、相手の石を弾き出すこと、アイスの変化に影響を受け難い速いウエイトのテイクショットを中心にエンドを進めることで、シート内(プレーゾーン)に石を溜めずにシンプルに攻防することを指す。

 松村も試合後、「中国のアイスリーディング(アイスを読む)の早さに、私たちは最後まで追いつけなかった」と敗因を口にした。結果論ではあるが、チームがアイスの状態を把握する中盤あたりまで、中国のショットをいなすようにうまく逃げ、挽回できる程度のビハインドを堅持してゲームメイクしたほうが、ベターだったかもしれない。

 とはいえ、日本代表として最低限のタスクである、来年3月の世界選手権(カナダ・プリンスジョージ)の出場権を獲得した。

 次の目標は、来年2月に地元・軽井沢パークで行なわれる日本選手権で連覇を果たし、再び世界選手権に出場することだ。

「自分たちでつかみ取ったチャンス(世界選手権の出場権)なので、自分たちで使いたい」と、石郷岡は気持ちを新たに語った。無論そのためには、北澤が挙げる「ショットの精度もそうだし、アイスリーディングできてないからショットが決まらない部分もある。両方の技術を高くしていかないといけない」という課題を、残り3カ月で消化しなくてはならない。

 PACCで不足している部分があらためて浮き彫りになった。しかし、それはまた成長過程と言い換えることができる。両角友佑コーチはPACCでの戦いぶりをポジティブに捉えて、こう総括している。

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