御嶽海が表彰式で母に投げキッス。まぐれではなく「最高の優勝」だった (3ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki

 優勝を決めたあとの表彰式では、両国国技館のマス席からお母さんが投げキッスを送ってくれているのが見えました。僕も投げキッスを返したんですよ(笑)。

 1度目の優勝(昨年名古屋場所)はまぐれだった。でも今回の優勝は、場所前から10勝という目標に向かってやってきて、それにプラスアルファされた結果だったと思っています。

 とにかく、僕にとって「最高!」と言える優勝でしたね。

先場所の9月場所で2度目の優勝を飾った御嶽海先場所の9月場所で2度目の優勝を飾った御嶽海 さて、僕が生まれたのは、フィリピンの首都マニラに近い、ブラカンというところです。フィリピンには4歳までしかいなかったので、当時の記憶はほんのちょっとしかないんですけど、全部楽しい思い出です。

 ブラカンの一軒家に、お母さん、おばあちゃん、おじさん(母の兄弟)、おばさん(母の姉)、いとこたちと、総勢12、13人で住んでいました。おじさんたちは僕と年齢が近かったから、兄弟のように一緒に遊んで、ワイワイ暮らしていたんですよ。

 家の横は、田んぼ。「大通り」と呼ばれていた道も、車1.5台くらいの幅しかない狭さでしたね。その道をちょっと歩いていくと、バスケットボールのゴールがあって......。そこで、ストリートバスケ(3on3)なんかをやって遊ぶんです。

 あと、親戚や近所の子たちと縄跳びをやったり、鬼ごっこをやったり、町のみんなで一緒になって遊ぶという感じでした。

 だから、4歳になって日本の長野県に行くことになった時は、寂しくて、寂しくて......。中学生の頃までは毎年2回、お母さんと一緒にフィリピンに里帰りしていました。

 フィリピンに行くと楽しいものだから、「日本に戻りたくない」って思っちゃうんですよ。帰国する時は寂しくなって、ずっと泣いていたくらいです(笑)。

(つづく)

御嶽海久司(みたけうみ・ひさし)
本名:大道久司(おおみち・ひさし)。1992年12月25日生まれ。長野県出身。180cm、177kg。出羽海部屋所属。得意技は突き・押し。学生相撲で活躍したあと、角界入り。思い切りのいい押し相撲と、周囲を魅了する明るいキャラクターで、子どもから大人まで幅広いファンから支持を得ている。幕内優勝2回。三賞受賞8回。

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