2019.11.10

御嶽海が表彰式で母に投げキッス。
まぐれではなく「最高の優勝」だった

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki

 実際に秋場所でも、9日目を終えたところで、1敗が隠岐の海関、明生、2敗で貴景勝、朝乃山、僕が続くという混戦状態。10日目には、1敗の力士がいなくなりました。

 そうした状況にあって、僕は11日目に竜電関に負けて、3敗目を喫してしまいます。さすがに(優勝は)もう厳しいなと思ったんですが、13日目に2敗の貴景勝が負けて、貴景勝、隠岐の海関、剣翔関、そして僕の4人が3敗で並ぶことになったのです。

「チャンス!」だと思いました。中日に貴景勝に負けて2敗になった時は、正直後半戦でこんなチャンスが巡ってくるとは考えていなかったですから。

 昨年の名古屋場所で初めて優勝して以降、”大関取り”に挑み続けている僕は、毎場所10番以上勝つことを目標にしています。まずは、これをクリアできたことが本当にうれしかった。

 だから、「優勝を狙っていますか?」という記者の質問には、あえて自らを戒めて、こう答えました。

「やっと10勝。目標を達成できました。残り2日しかないから、楽しんで相撲を取りたい。ここで一度、リセットしないと、あと2番は勝てないと思います」

 14日目、大関・豪栄道関に勝った僕、そして貴景勝、隠岐の海関が3敗をキープし、いよいよ千秋楽を迎えることになりました。

 そこで、3敗同士の貴景勝と隠岐の海関が対戦。貴景勝が勝利を収めました。僕は、学生時代からのライバル・遠藤関と対戦して寄り切り勝ち。貴景勝と僕が、優勝決定戦に進むことになりました。

 本割(遠藤戦)を取り終えるまで、僕は”優勝”を意識しないようにしていたんです。プレッシャーになっちゃいますからね。意識したのは、本割が終わって、(優勝決定戦に向けて)一旦支度部屋に戻ってきた時くらいかな? それからは、緊張で足がすくんじゃって、自分でも「大丈夫かな?」と思ったくらい。

 僕は、図太い神経の持ち主のように見られるんですけど、意外とそうでもないんです(笑)。

 8日目に貴景勝に負けているということも頭にありましたが、「同じ相手に2度も負けられない!」「自分は勝つ!」――そう言い聞かせて臨んだ優勝決定戦は、すごく集中できていたし、自分の相撲を取り切れました。これ以上ないくらい、会心の相撲じゃなかったかな?