強い日本にうれしい悲鳴。バド女子ダブルスの五輪出場枠争いが熾烈だ (3ページ目)

  • 平野貴也●取材・文 text by Hirano Takaya
  • photo by Getty Images

 もちろん、3組だけで争うわけではない。米元小春、田中志穂組(北都銀行)が世界ランク8位につけており、12位、16位にも日本勢が控えている。また、国内勢の争いばかりに気を取られるわけにもいかない。世界ランク上位選手は各大会でシードを得られるが、特に中国、韓国勢は昨季より勢いを増しており、序盤で戦うランキング下位のペアでも警戒が必要だ。

前回のリオデジャネイロ五輪では金メダルの高橋礼華(右)・松友美佐紀ペア前回のリオデジャネイロ五輪では金メダルの高橋礼華(右)・松友美佐紀ペア 松友は「戦ってみて、昨年とは明らかに勝負に対する覚悟などが違う。韓国はまだペアを組み替えている。リオ五輪のときも半年前までペアを組み替えていたし、特に韓国、中国は、この1年で最強のペアを作ろうとしているし、まだ変化すると思う。それは、楽しみでもある」と話した。組み替えや若手の成長などによって、下位ランクにも強敵が生まれる可能性がある。

 奇しくも五輪レース開幕戦となったニュージーランドオープン(スーパー300)では、日本のトップ4組がすべて同じ韓国ペアに敗れて優勝を逃している。日本代表の朴柱奉ヘッドコーチは、これまで何度も「中国、韓国、インドネシアとの差は、ほとんどない。日本は、ベスト4に3組が残っても、大事なところ(決勝戦)で負けていることもある」と警笛を鳴らしており、激しさを増すサバイバルレースをタフに戦い抜くことが求められる。

 もちろん、負傷による長期離脱は避けなければならない。髙橋は「大きなケガをしてしまったら、もう(コートに)戻って来られないかもしれない。毎回、これが最後の大会になるかもしれないと思って臨んでいる」と覚悟を示した。日本のトップ3は、どのペアがより上位の成績を挙げるかが注目され、プレッシャーとの戦いを強いられることになるし、直接対決の結果も大きく報道されるだろう。

 2000年代に入ってから、日本の女子ダブルスは小椋久美子、潮田玲子の「オグシオ」ペアが全日本総合バドミントン選手権大会を5連覇し、脚光を浴びた。現在の朴柱奉ヘッドコーチが就任した後は、08年の北京五輪で末綱聡子、前田美順がベスト4と躍進。12年のロンドン五輪で藤井瑞希、垣岩令佳が銀メダル、そして前回の16年リオ五輪で髙橋、松友が頂点に立った。日本のバドミントン界をけん引してきた種目だが、かつてないハイレベルな出場権獲得レースになることは、間違いない。まずは、地元開催のダイハツ・ヨネックスジャパンオープン(7月23日~/武蔵野の森総合スポーツプラザ)を含む7月の3連戦で、どのような結果が見られるのか、注目だ。

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