ツール・ド・フランス開幕。「100年目のマイヨ・ジョーヌ」は誰の手に? (3ページ目)

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki
  • photo by A.S.O.

 大会はブリュッセルとその近郊で2日間を過ごし、3日目のスタート直後に国境を越えてフランス入り。シャンパーニュ、ロレーヌ地方の平原を走り、第6ステージのラプランシュ・デ・ベルフィーユで最初の山岳を迎える。

 ボージュ山地の国立公園内にあるこのスキーリゾートは、今回で4度目の登場となるが、過去3回とも大会前半に最初の山岳として登場している。注目すべきは、このラプランシュ・デ・ベルフィーユの表彰台でマイヨ・ジョーヌを着た選手が、最終的に総合優勝しているということだ。

 その後も中央山塊、ピレネー山脈と舞台を移し、最後はアルプスでの3連続区間が待ち構える。前回よりも峠の数が増え、標高2000メートルを超えるゴールも、「第14ステージのツールマレー」「第19ステージのティーニュ」「第20ステージのバルトランス」と3区間に用意された。

 また、第2ステージにはチームタイムトライアル、第13ステージには距離の短い個人タイムトライアルがある。よって、独走力のある選手より、登攀(とうはん)力のある選手のほうが有利な設定である。

 フルーム以外にも有力選手の欠場があり、色めき立っているのは地元フランス勢だ。世界最大の自転車レースを開催している国なのに、総合優勝という栄冠は1985年のベルナール・イノーを最後に遠ざかっている。つまり、33歳以下のフランス人は、自国選手がツール・ド・フランスで勝ったところを見たことがないのである。

 主力選手が不運によって欠場し、総合優勝争いが混沌とする状況は、栄冠を掴み取る大きなチャンスだ。若い時代から将来を嘱望されていたAG2R・ラ・モンディアルのロマン・バルデ(フランス)、グルパマ・FDJのティボー・ピノ(フランス)らが20代後半の中堅選手となった今年は、34年ぶりのフランス人総合優勝の期待がかけられている。

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