女子フルーレがアジアで優勝。ベテランフェンサーのような17歳が躍動 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nagase Yuya/PHOTO KISHIMOTO

 3巡目は余裕のある展開で、東が11点差とすると、辻が8点差まで詰められたものの、アンカーの上野は「チョン選手には個人戦の決勝で負けていたのでリベンジしたかったし、どんどんアタックにくると感じていたので、それを受けないように自分から仕掛けていきました」と、取られたら取り返す展開に。すると、ラスト2分を切ったあとは、相手の気落ちもあって10連続で得点を獲得し、45対29でアジア選手権初制覇を決めた。

 17歳らしからぬ堂々とした戦いぶりでアンカーを務めた上野は、試合をこう振り返る。

「前回のアジア選手権に私は出られなかったけど、韓国に1本勝負で負けたのを見ていてすごく悔しかったので、今回は絶対に勝とうと思っていました」

 そんな上野を辻は、「いろんな試合でアンカーをやってもらっているけど、すごく頼りがいがある」と言い、菅原コーチも「絶対に勝ち切る力を持っている。最年少だが、アンカー上野は変えるつもりはない」と高く評価する。

 福田監督も上野が最後に入る影響をこう語る。

「上野はフィジカルが強いし、精神面も『ベテランフェンサーか?』と思うくらい落ち着いている。最後に入ると緊張するものですが、今回の決勝は、何本か取られながらもそこから気持ちを切り替えて攻撃に転じていた。そこは、他の選手とは違うなと思いました。彼女がアンカーに入ることで、東がポイントゲッターとしてのびのび戦えて、辻がしっかり守るというチームの形ができつつある。序盤でリードできれば、今の日本の女子の戦い方はしっかりできると思う」

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