平成最後の本場所で貴景勝の大関獲りは実現するか――錣山親方の視点 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki


昨年夏場所以来の優勝が期待される鶴竜昨年夏場所以来の優勝が期待される鶴竜 その白鵬にも相撲の"巧さ"で上回っているのは、もうひとりの横綱・鶴竜です。すでに33歳ですが、体に張りがあって、まだまだ若いです。初日こそ、小結・御嶽海に敗れてしまいましたが、昨年の夏場所(5月場所)以来の優勝もあるでしょう。

 豪栄道、高安ら大関陣は、力はあるのですが、ポカが多すぎますね。とくに高安は、勢いのある相撲を取りますが、「勝った!」と思って突っ込んでいったところで、土俵際で逆転を喫する――そんな取組がしばしば見受けられます。そういう相撲が少なくなれば、もっと番数は上がるはずなんですが......。

 世間的に最も注目されているのは、今場所「大関獲り」の期待が膨らむ貴景勝でしょうか。昨年の九州場所(11月場所)で初優勝を飾って、先の初場所でも11勝。昇進の可能性は十分にあると思います。

 とはいえ、貴景勝は先場所にもチャンスがありながら、千秋楽の豪栄道戦に敗れて、大関昇進は見送りとなりました。しかもあの一番、貴景勝にとっては、自らの弱点をさらす黒星になってしまいました。

 というのは、相手からすると、立ち合いから押し込んでいけば、貴景勝は引いてくれるから、引かれてもさらに押し込めば勝てる――という"勝ちパターン"があることを露呈してしまったわけです。

 対戦相手の多くがそれを把握したうえで挑んでくる今場所、貴景勝はそういう相手にどう対処していくのか。「大関獲り」は、この点にかかってくるのではないでしょうか。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る