髙木美帆は世界記録保持者になって思う。「あまり意味がないのかな」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫●写真 photo by Fujita Takao

 ゴールタイムは、女子で初めて1分50秒を突破する1分49秒83という驚異的な記録。

「途中のラップタイムも見られなかったし、最終タイムも1位という順位を見ただけで、レース自体も最初の部分しか覚えていないんです。世界記録保持者になれたこともうれしいけど、それ以上にひとつのレースでしっかり力を出し切れたことに対してのうれしさの方が大きいですね。

 ただ、この立場になって感じたのは、記録を保持することにあまり意味はないのかなということ......。みんなでチャレンジしていくことがやっぱり一番大きいと感じるし、自分もこれから自己ベストに対してトライしていくことになるので、この記録を抜かれないようにするというよりは、さらに自分が更新していけるように頑張っていきたいなと思いました」

 髙木は今季序盤、すっきりした気持ちで入ることができず、W杯前半戦もなかなかうまくいかなかった。そんな気持ちが切り替わってきたのは、昨年末の全日本スプリントからだという。

「調子も上がってきていたし、小平選手と争って自分の気持ちに火が付いた部分は少なからずありますね。そのあとは世界距離別選手権という大きな大会があって、自分がどうしたいかという欲が明確に芽生えてきた部分もあり、モチベーションが上がった」

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