初代スピード女王は野中生萌。気温5度でもタンクトップ姿で逆転勝利 (3ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

 藤井のように充実した表情を浮かべる選手がいる一方で、対極の顔があるのも勝負の世界。予選ラウンドを1位通過しながらも、決勝ラウンド1回戦で藤井に敗れた緒方良行は、ゴール目前まで先行していたものの、最後のパートで左足が流れてホールドを踏み損ねた。藤井が練習で6秒台を出していることを知っていたため、それで生まれた重圧も影響したようだ。

「決勝ラウンドの1回戦は、もう少し余裕を持って登れる相手と対戦したかったから、予選から全力を出したんですけど、(藤井)快さんが予選16位になった時点で、1位通過した意味がなくなった部分はありました。ただ、それでも途中までは先行していたから、最後で足が流れたのが悔やまれます。

 ボルダリング・ジャパンカップの結果(8位)が悪かったので、今年の国際大会に出るために、この大会に賭けていたので......。今はまだ切り替えられていませんが、次に向けてしっかり気持ちを切り替えて準備していきます」(緒方)

 五輪切符のかかる今シーズンは、選手たちが各大会にそれぞれの目標やテーマを持って臨んでいる。勝負のあやが選手たちの置かれる状況を変えるが、五輪に向けた勝負はまだ終わったわけではない。

『ジャパンカップ』は、1月末のボルダリングと今回のスピードに次いで、3月2日、3日に千葉・印西で『リード・ジャパカップ』が開催される。登った高度で成績を競うリード種目は、1度のトライしか許されない一発勝負。日ごろのトレーニング量と高い突破力が求められる種目へと、すでに選手たちの目線は向いている。

 果たして、最後に笑うのは――。

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