海外メディアは宇宙人と命名。小林陵侑がW杯総合優勝へ驀進中だ (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 photo by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 ただ、「あの時ゲートに入るのが遅れればよかったですね。そうしたら風がいい時に飛べたかもしれないですから。冗談ですけど......」と言って記者を笑わせるほどの余裕は持っていた。

 2日目も上位8名の中では秒速0.58m、0.64mと最も弱い向かい風の中でのジャンプで1本目は8位ながら、2本目はヤン・ホエール(オーストリア)に1.3点差で全体2位。ほぼ同じ風の条件だったクラフトには1.9点差をつけるジャンプで3位に食い込んだ。

 今シーズンこれまでのW杯の成績を見れば、1位が9回で3位3回。悪い時でも3回の7位があるだけと抜群の安定感。総合2位にはクラフトが3連勝をして追いかけてきているが、ポイント差はまだ452点もある。

 この後はフライングヒル6戦を含む12戦が残っているW杯。選手層も厚く、好調は続かないというのがジャンプの常識でもあるが、風に泣かされても5位、3位という技術の高さを保っている今の結果を見れば、日本人初のW杯総合優勝の可能性も高い。

 22歳の小林が一気に、日本男子ジャンプ界の歴史を書き換える存在になったのは確かだ。

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