注目の稀勢の里はいかに。錣山親方(元関脇・寺尾)が斬る「九州場所」 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text by Takeda Hazuki

 次にポイントとなるのは、関脇・御嶽梅の大関取りなるか、です。

 名古屋場所(7月場所)で初優勝を果たした御嶽海。もし秋場所で11勝を挙げれば、大関昇進となるはずでした(※直前の3場所で33勝以上が昇進の基準)。ところが、中日以降に失速して、結果は9勝。初めての大関挑戦には失敗してしまいました。

 もちろん、9勝を挙げたことで、大関取りのチャンスは今場所も続いています。数字だけなら、九州場所で11勝を挙げることができれば、基準の33勝は満たされます。

 しかしそれでは、大関昇進のアピール材料としては弱いんじゃないか、と私は見ています。あくまでも個人的な意見を言わせてもらえば、横綱、大関を倒して14勝1敗で優勝した場合は、文句なし。その成績なら、大関昇進はあっていいと思っています。

 というのも、名古屋場所の初優勝は3横綱、1大関が休場していた、というラッキーな事情がありました。その点を考慮すれば、今回の大関昇進にはそれぐらいハードルを上げてもいいのではないか、と思うわけです。

錣山親方が九州場所の優勝候補に推す豪栄道。photo by Takeda Hazuki錣山親方が九州場所の優勝候補に推す豪栄道。photo by Takeda Hazuki 今場所は、白鵬、鶴竜の2横綱が初日から休場。優勝争いの行方は? となると、私は大関・豪栄道を本命に推したいと思います。

 豪栄道は、とても力がある力士なんですよ。稽古場では無敵の強さを誇っています。でも、どうも「楽をして勝ちたい」という気持ちがあるのか、それが本場所では悪いほうに出てしまっているようです。

 豪栄道にとって大切なことは、邪念を振り払って、余計なことは考えないこと。土俵に上がったら、平常心を保って自分の相撲を取り切ること。そうすれば、2年ぶり2回目の優勝も見えてくるでしょう。

 優勝争いの2番手は、大関・栃ノ心です。

 大関に昇進した名古屋場所では足の負傷のため、途中休場。いきなりカド番となった秋場所をなんとか乗り越えました。

 ケガの具合は順調に回復しているようで、秋巡業では毎日土俵に上がって稽古をしていたと聞いています。力士というのは、ケガをすると「また、その箇所を痛めてしまうのではないか?」といった不安にかられるものですが、そうした"怖さ"も、稽古で払拭できたのではないでしょうか。今場所の躍進が期待されます。

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