新境地開拓。パワーを強化した
髙木美帆は葛藤を楽しんでいる

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 ただこの日も、前日の短距離から長距離に切り替えるのが難しかったように、長距離から短距離に切り替えることの難しさを感じたという。

「狙ったところに1週間かけてシフトしていくのか、1日でバーンと変えるようにしていくのがいいのかはまだ模索中です。メンタルも影響してくると思いますが、体の使い方が重要になってくる」

 また、ライバルである小平との勝負に勝てたのはうれしいとは言いながらも、「お互いの去年の平地でのベストタイムにはまだ遠いので、これからが勝負になると思います」と気持ちを引き締める。

 最終日の1500mでは、パワーアップしたゆえの影響も出てきた。

「やっぱりパワーがついた分、体にかかる負担というのも去年より大きく感じています。どこかで無理をして使っている部分もあるのかなと思いますが、今回得た課題というか、発見と思っています。どんな種目を滑っても、効率よく滑れば体にかかる負担も最小限に抑えられると思います。シーズンを通して乗り越えていくことが必要なのかなと、今回4種目を滑って感じました」

 平昌五輪直後は、「いつもなら『ああやりたい、こうやりたい』というのが出てくるんですが、今はまだ出てきていないので、どうなるか不安を感じている」と話していた髙木。だが、パワーをつけた新しい体になって、これまでとは違うことを考えなければいけない刺激も生まれた。

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