金メダル獲得の原動力。スピードスケート小平奈緒の一番の武器とは (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Pro Shots/AFLO

 小平はオランダに行った成果のひとつに、イレイン・ブスト(オランダ)から直線の滑りを学べたことを挙げている。結城は「たまたま左足の痛みが少なくなっている時に、ブストと一緒に滑って、ブストの(滑る)タイミングを見て、これだと思ったのかもしれない」と言う。

「ブストは年齢もひとつ上で、合宿でも同じ部屋になることが多く、身長も同じくらいなのでウエイトもペアにしてもらえた。そのなかでブストも普通の人間で、弱いところもあることを知ったり、練習では他の選手とは違う雰囲気を出しているのを見て、『オランダのプロにもいろんな選手がいるんだ。決して日本人がオランダ人に負けているわけではない』、ということもわかったのだと思います。

 これまで日本ではできなかった、"自分より速い選手と練習をできたこと"がすごく大きかったですね。彼女は、ほぼ10年間日本のトップでやってきて、自分より優れた女子選手と練習する機会がなかった。でも、自分より100mのラップタイムの速い選手や、1000mや1500mで自分より強い選手とトレーニングできたことが、ものすごく自信になったと思います」

 一緒に練習をする相手に恵まれたことに加え、古傷の痛みも治まってきた。そんな正のスパイラルに乗ることができたのも、彼女自身が海外を経験したいという思いを貫いたからこそ与えられた、天からのプレゼントだったのかもしれない。

(つづく)

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