コーチの「喝!」でチームは改善。フェンシング女子金メダルの舞台裏 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 奥井 隆史●写真 photo by Okui Takashi

 試合が終わった瞬間、ボアダンコーチからは「君たちは新しい歴史の1ページ目を作ったんだ」と言われたという。

「最初の一歩を踏み出せたと実感しました。五輪のメダル獲得は、これまでの日本女子フルーレでは誰もやったことがないから、そういう歴史を作っていけるチームになっていると感じました」と宮脇は明るい笑みを浮かべた。

 今回の団体戦は、大きな大会でのスタメンが一度もなかった辻が抜擢され、その力を存分に発揮した。代わりに、6月のアジア選手権個人で優勝した菊池小巻(専修大4年)が準々決勝の第9ラウンドに出ただけで、あとは控えに回った。それだけチーム内の競争が激しくなっている。

 18歳ふたりと21歳ふたりのチームで成し遂げた今回のアジア大会初優勝は、来年から始まる東京五輪出場権獲得レースへ向けて、大きな自信になるはずだ。

 東京五輪の開催国枠8はすでに決まっているが、重点強化種目となっている男女フルーレと男子エペ、女子サーブルは、団体戦の出場権を自力で勝ち取って出場種目をさらに増やすことが期待されている。

 五輪の団体戦出場権を取るためには、2019年春の時点での1年間のポイントの世界ランキングで4位以内に入るか、5位以下の場合はアジア最上位でなければならない。現在の団体の世界ランキングは、韓国が5位で日本は7位、中国は9位。目標は4位以内に入ることだ。仮に5位以下でも、韓国よりも上位にランクインすることが重要になる。アジア大会初優勝は、その目標実現への大きな一歩になったといえる。

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