コーチの「喝!」でチームは改善。フェンシング女子金メダルの舞台裏 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 奥井 隆史●写真 photo by Okui Takashi

 選手たちはその言葉をしっかり胸に刻んでトレーニングを重ねてきた。

「まずはそこから改善していこうと、1年間取り組んできました。今は世界中のトップ選手も『日本は自分たちにとって危ない国になっているぞ』と感じていると思うので、そこが、この1年間ですごく変わったところだと思います。それに試合や練習で、たとえば接近戦になっても、みんな必死に突こうとしている。

 以前はだらだらと時間を過ごしてしまう試合が多かったんですが、そういうことがなくなって、どんどん仕掛けていくようになっている。それは今回代表になった4人だけではなく、日本の女子フルーレの全員を見てそう思います」(宮脇)

 宮脇は、最大のライバルを倒した試合をこう振り返る。

「本当に何年も何十年も......、私がチームに入ってからも勝ったことがなかったので、本当に大きな1勝だと思うし、最後まで勝ち切ることが大事なんだと思いました。ナム選手との戦いでは追い上げられてしまいましたが、他のふたりも焦らずに試合を運んでくれたし、コーチもしっかりアドバイスをくれて、『大丈夫だ』という気持ちで最後まで戦えました」

また東も「個人戦では負けていたチョン選手とは6-5だったので、団体戦でリベンジできてよかった。彼女はこれで引退するそうなので、勝ち逃げできました」と笑顔を見せる。

 決勝で金メダルを争う相手は中国。今年6月のアジア選手権準決勝では43-42で勝利しており、7月の世界選手権の準々決勝でも45-31で勝っている。ただし、「中国は貪欲に勝ちにくるチーム。しっかりビデオを撮って研究してくるので、前にやられたことのない選手にやられてしまったり、想定外のこともある」と宮脇が言うように、油断できない難敵だ。

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