ボルダリング新女王、21歳の野中生萌が語る「メンタル面の変化」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko 窪田美和子/アフロ●写真 photo by Kubota Miwako/AFLO

 自身の今季について、野中は「年間通して結果が出たというのは、単純にベースが上がったのだと思います」と、成長の手応えを語る。同時に、メンタル面の変化についても強調した。

「一番違うのは、自信を持って臨めたことだと思います。『私はまだ......』みたいな気持ちが入ると、やっぱりその一手が届かなかったりするので、しっかりと『私もできる』という自信を持って登っていました。今シーズンは勝ち切れずにずっと2位でいたのもあって、最後なので悔いが残る登りはしたくないと強く思っていた。それが最後にできてよかったです」

 ミュンヘン大会の決勝では、ガンブレットは4課題すべてで一撃(1回のトライで完登すること)、野中は1課題目を2トライし、残る3課題は一撃した。わずかの差が優勝と2位を分けたわけだが、ガンブレットの戦い方に、野中はある種の理想を見出している。

「1課題目、私も一撃できたと思うんです。『たられば』なんですけど、2回目はすんなり登れたので、そこは完全に私のミスです。それと同時に、ヤンヤ(ガンブレット)はファイナルをすごく楽しんでいて、自信を持っているのがわかりましたね。本当に強い、尊敬すべき選手です」

「自信」とともに「楽しむ」というのが野中のキーワードのようだ。前日の予選終了後には、決勝に向けて次のように語っていた。

「自分と向き合って調整はするのですが、最終戦ですし、一番盛り上がる楽しい大会でもあるので、大会の雰囲気を感じて、すごく楽しみたいなという気持ちが強いです」

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