「氷上のビーナス」は体重減で引退を実感。スマイルジャパン、エースの16年 (3ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao 五十嵐和博●撮影 photo by Igarashi Kazuhiro

 平昌五輪では、初戦でスウェーデンに1-2と惜敗すると、前回ソチ大会銅メダルのスイスにも1-3と敗れ、決勝トーナメント(準々決勝)進出の可能性は潰えた。ただ、その後1次リーグ最終戦で韓国と北朝鮮の合同チームに勝利し、悲願の五輪初勝利を挙げると、順位決定戦でスウェーデンとの再戦を延長の末2-1で制し、通算2勝3敗の6位で終えた。どの試合でもチャンスの数では上回っていただけに、スマイルジャパンの健闘が光ったともいえた。なにしろ、日本は自国開催だった98年長野五輪とソチ五輪は、ともに5戦全敗だったのだ。

――平昌五輪を振り返って、いまどんな思いですか。

「最低でも決勝トーナメントには行きたかったし、本気でメダルを狙えると思っていたので、チームとしても個人としても、『もうちょっとやれたかな』という思いが強いです。個人的にはソチからの3年間は本当に楽しくできて、この年齢になってもまだ成長できることを感じていたのですが、最後の1年はケガもあったりして、自分のベストかというと、そうじゃなかった。ただ、そのなかでベターなプレーはできましたし、2勝したことを周囲の人が喜んでくれたので、いい思い出になりました」

――日本のほうがチャンスを作りながら、強豪チームは決定力が違いました。

「やっぱり海外の選手はシュートに力がありますね。それにスイスなんて、それまでのデータから、バックチェックをしてこないと思っていたら、すごくしつこくしてきた。試合前は、ほとんどの時間を日本が攻めて、相手のGKをどう崩すかだけだと思っていたら、全然違ったんです。だから、インターバルの控え室ではみんな『むっちゃバックチェックしてくるじゃん!』って感じで(笑)。スイスにしてもスウェーデンにしても、それまでの交流試合とは本気度というか戦い方が違って、これが五輪かとあらためて感じる部分もありました。

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