平野歩夢のUSオープン優勝にみる、日本がスノボ王国となる可能性 (2ページ目)

  • 徳原 海●文・写真 text&photo by Tokuhara Kai

 1本目トップのスコッティ・ジェームズ、そして2本目に86.75で2位につけた片山來夢(らいぶ)がともに3本目を失敗し、ファイナルランを前に平野の優勝が決まった。最後の滑りはパイプのボトムエリアに詰めかけた超満員の観客の前でのウイニングランとなったが、そこでも攻めのトリックを披露。結果的に失敗はしたものの、いかなるときも高みを目指す平野歩夢流の「スノーボーディング」というものを見せつけられた気がした。

 大歓声に迎えられながらのフィニッシュ。平野はヘルメットとゴーグルを外し、高々とボードを掲げた。

 昨年は同大会で大ケガ(肝臓と左膝内側側副じん帯の損傷)を負い、2カ月にもわたるリハビリを強いられた。それだけに今大会にかける思いはあっただろう。またXゲームズ、平昌五輪からの流れで張りつめていたものが一気に解放されたのかもしれない。とにかく、常にクールな平野が喜びをストレートに表現するほどの、大きな勝利となった。

「これまで2位と3位があってからの優勝。USオープンは好きな大会でもあるので、そうやってコンプリートできたことはうれしいですね。去年ここであんなクラッシュをしたので、ケガだけはしないようにと心がけて臨みました。五輪も終わってリラックスできていたので、今回は自分を追い込むことなくスノーボード自体を純粋に楽しむことができたと思います。今シーズンのいい締めくくりになりました」

 表彰台では、平野の隣でもう1人の日本人ライダーが喜びを爆発させた。自己最高の2位でフィニッシュした22歳の片山だ。昨年のUSオープンでは5位、今年1月のXゲームズでは6位、そして平昌五輪では7位入賞と、近年は世界のトップコンペティションでコンスタントにトップ10に入っている陰の実力者である。

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