自称・オーバー稽古症候群。38歳・豪風が決断した十両からの再出発 (2ページ目)

  • 武田葉月●取材・文 text&photo by Takeda Hazuki

 豪風旭(あきら)。秋田県出身の38歳。中央大学4年のときに学生横綱の栄冠を手にして、角界入りを決意。尾車部屋に入門し、2002年夏場所(5月場所)、幕下15枚目格付け出しでデビューした。

 以降、2場所で幕下を通過し、同年秋場所(9月場所)には新十両に昇進。そして、翌2003年春場所には新入幕を果たすという、異例のスピードで出世を果たした。

 その後、目の負傷もあって、2005年春場所では十両に陥落するも、翌夏場所には幕内へ復活。以来、幕内に定着し、2008年の春場所には新小結に昇進した。

 身長172cm、体重152kgの豪風。十両、幕内の「関取」と呼ばれる力士の中では現在、新十両・炎鵬(えんほう)に次いで2番目に背の低い力士ではあるが、広い肩幅を生かした重心の低い押し相撲が持ち味だ。

 豪風はまさしく小兵力士である。それでも、ずっと幕内力士であり続けることができたのには、理由がある。

 それは、ストイックすぎるほどストイックに自分を追い込む、日々の姿勢である。

 連日、基本を中心とした朝稽古を入念に消化。そのうえで、若手有望力士の多い高田川部屋にも頻繁に出稽古へいった。

 また、夕方からは自転車に乗ってジムに行き、筋トレに取り組む。日本各地を転々とする地方巡業の際にも、巡業先でジムを探して、その地に到着するやいなや、ジムに行って筋トレに励んできた。

「自分は"オーバー稽古症候群"なんですよ。つい、やりすぎてしまう。やらないと不安なんです」

 そう語る豪風。食事のバランスにも気を配り、酒類はほぼ口にしない。

 こうした努力の末、入門時に掲げた「30歳まで現役」という、ひとつの目標はクリアした。

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