なぜ小平奈緒は平昌であんなに強かったのか。
苦労を知る番記者が明かす

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 そして五輪シーズンへ向けては、オランダから帰国してすぐに「やっぱり私には男子選手との練習が必要だ」と結城匡啓(まさひろ)コーチに要望した練習で、自分の体作りや使い方をさらに高めていった。

「今年はたくさん男子と一緒にトレーニングができているし、メニューの中では自分が男子を引っ張って練習に貢献できるような選手になることができている」

 これまでは女子の中で速い選手になるのが目標だったが、男子と練習をやることで、そのスピードで滑ることが当たり前に感じるようにもなってきた。

「結城先生は今の男子がやっている滑りは10年後の女子の滑りになるとよく言っていて、それを考えると、(自分の)スケーティングを磨くことで、スケートというスポーツを高めたいという方に意識が向いていく。それが今はすごく楽しいし、集中できるなという感じです」

 そんな飽くなき探究心があったからこそ、絶対的な金メダル候補として臨んだ平昌五輪の500mでも、プレッシャーに押しつぶされることなく36秒台というタイムにのみ集中して圧勝劇を演じられたのだろう。

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