貴乃花親方のピンチを救えるのは、
復活した貴ノ岩の快進撃しかない

  • text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 そんな苦境を打開できるのは、やはり土俵しかない。貴乃花親方は理事に初当選したときに、「まずは弟子の育成を最優先に考えたい」と抱負を述べた。それは、自らに言い聞かせるのと同時に、すべての親方に「ファンの期待に応える弟子を育成してほしい」と願う思いの表れでもあった。

 それからの8年で、貴ノ岩を幕内上位まで昇進させ、貴景勝は部屋で初めての三役に駆け上がった。貴源治は十両を2場所連続で勝ち越し、その双子の兄である貴公俊は春場所に新十両昇進を果たした。

 角界には昔から、「よくも悪くも、すべては土俵の砂が洗い流してくれる」という風潮がある。理事から離れた貴乃花親方に必要なのは、才能あふれる新弟子を発掘するために全国を歩き、弟子の育成に没頭し、現役時代の自身のように"真っ向勝負"を貫く力士を送り出すことだ。その数が多くなるにつれ、ファンはもちろん、協会内の視線にも再び「敬意」が帯びてくるだろう。

 その土台を支えるためにも、まずは土俵に戻ってきた貴ノ岩の活躍がやはりカギとなる。厳しい状況で会心の相撲を取り、貴乃花親方の指導力の高さを証明できるか。それとも......。崖っぷちの師匠に、「弟子の指導が第一」という初心を思い出させるような土俵を期待したい。

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