10カ国中9位のショット率でも、カーリング女子がメダルを取れたわけ

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

 2016年のカーリング世界選手権(カナダ)において、準優勝に輝いたロコ・ソラーレ北見(LS北見)。日本カーリング史上初めて、世界大会でメダルを獲得した。

 ただ、決勝戦ではスイス相手にラストドローを沈めれば金メダルという局面を作りながら、「私が決め切れなかった」とスキップの藤澤五月は涙を流した。サードの吉田知那美は「表彰台に上がった3チームで、負けたのは私たちだけ」と、銀メダルにも悔しさをにじませた。

日本カーリング史上初の五輪メダルを獲得したLS北見日本カーリング史上初の五輪メダルを獲得したLS北見 今回の平昌五輪では、銅メダルだった。しかし、最後に笑って終えられた。

 しかも、強豪イギリスと互角以上に打ち合っての勝利。セカンドの鈴木夕湖(ゆうみ)は、「最後は私たちらしい試合で締めくくれてよかった」と笑顔を見せた。

 そのコメントの裏には、ラウンドロビン(総当たりのリーグ戦)で、もがいた経緯が見え隠れする。

 LS北見のラウンドロビンでのショット率は、チーム平均が75%。全10カ国中、9位という記録だった。チームとして初の五輪、変化しやすいアイス、予告なく研磨されたストーン......、あらゆることにアジャストすべく奮闘したが、その数字は決していいとは言えない。

 それでも、8日間で9試合の激戦に耐え、粘り強く戦って5勝を挙げた。どの選手にもミスは出たが、それを必要以上に引きずることなく、そのミスから情報を集めて、続くショットに生かしていった。

 その結果、藤澤がキーショットを決めて凌(しの)いだエンドもあったし、フロントエンドで劣勢になっても、バックエンドで形を変える、あるいは劣勢な状況を壊すこともできていた。その点は、大きな収穫だった。

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