世界が驚くカーリング女子。チームを作った本橋麻里「8年前の想い」 (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

――五輪を終え、帰国してすぐに全日本選手権に出場。さらにすぐ、再びカナダへと飛んで世界選手権がありました。タイトなスケジュールの中、そうした課題や反省はそのまま克服できず、置き去りにされてしまうのでしょうね。

「五輪で生じたギャップや違和感を修正する時間もなく、バタバタとしていたのですが、本当はそのスピードに甘んじて、チームの課題をそのままにするわけにはいかないんです。でも、日本代表のチームっていうのは、その中でも勝つことを期待されている。疲れていても、チーム状態が良くなくても......。

 結局、(課題の)修正はできませんでした。もっともっとメンバーがお互いの弱さを知るべきで、お互いの強さを讃え合うべきだった。そういったことを考えれば考えるほど、『ああ、私の内面にはチーム作りのノウハウがないんだ』と気付いたんです」

――4年後の五輪を見据えながら、課題を克服し、チーム作りのノウハウを学ぶことは、チーム青森に所属しながらではできなかったのでしょうか? あるいは1年間だけ、チーム青森にとどまるといった選択肢もあります。

「チーム青森は、勝利を義務づけられて、強化のスケジュールも4年単位できっちり組まれています。A代表にいて、ちょっと違和感を抱いたときに、自分なりに考えたいことがあるからといって足並みを乱すと、ものすごく多くの人に迷惑をかけてしまうことになるんです。だから、タイミングとしては五輪が終わった今年しかなかったんです。それに私の中では、チームうんぬんではないんです。まずは、自分を鍛え直さないといけないと感じていました」

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