苦しむジャンプ陣、ひとり好調の
小林陵侑が「臨時エース」で団体戦へ

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 10日のノーマルヒル決勝では順番が早く、ゲートは最後に飛ぶ上位選手より2段高い14番からのスタート。秒速1.91mという強い向かい風も味方につけて、108mまで飛距離を伸ばし9位につけた。そして2本目はマイナス10度を下回る中、強風で選手が何度もゲートから外れるシーンもあったが、集中力を途切れさせることなく、2.32mの向かい風をもらって再び108mを飛んだ。

「1本目で終わった兄(潤志郎)は悔しそうでしたが、『仇は取る』と言って出てきた(笑)。最後はグーッと伸びていく風で、それに乗れてよかったです。今日もあまり緊張せず、落ち着いて自分の動きができたのがよかったと思う」

 こう話す陵侑は順位を7位にまで上げた。運にも恵まれて予想以上の結果を残したといっていい。

 そんな運のよさをさらに発揮したのは、16日のラージヒル予選だった。またしてもゲートが終盤の選手より3段も高い18番だったことを生かし、風も2mだった数人前の選手ほどには強すぎることのない1.64mというタイミングもあって、ただひとりヒルサイズ(142m)を超える143.5m(127.6点)を飛んだ。

 結局、19人後ろのロベルト・ヨハンソン(ノルウェー)が陵侑の127.6点を上回るまで、寒い中リーダーボードの前に残り続けて予選は3位で通過する。

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