楽しめた高梨沙羅。「ソチの時より
今の顔の方が好き」と言われ笑顔

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 平昌での勝負には惜しいところもあった。1本目は103.5mを飛んで120.3点を獲得したが、ほぼ同じくらいの向かい風だったルンビは105.5mを飛んで、125.4点。強めの向かい風で106.5mを飛んだアルトハウスは123.2点で2位になり、上位3人は、ともに金メダルの可能性を残す接戦となった。

 2本目が始まってしばらくすると風が弱まり、ゲートは最初の25番から27番に上げられ、風の有利不利が影響する展開になる。1本目7位のニカ・クルズナー(スロベニア)が104mを飛んだため、次のカロリナ・フォクト(ドイツ)からゲートは25番に戻された。

 その中で高梨は秒速0.25mという弱い向かい風でのジャンプとなり、103.5mを飛んで123.5点を獲得。合計243.8点で暫定1位になり、後ろにアルトハウスとルンビがジャンプを控えるなかで、メダルを確定させる。

 そのとき急に向かい風が強くなってきた。そのために次のアルトハウスはゲートを23番に下げたが、秒速1.13mの向かい風のなか106mを飛んで252.6点と高梨を上回る。さらにルンビはゲートを22番まで下げたが、向かい風は1.36m。ヒルサイズ超えの110mを飛んで圧勝という結果になった。

 9位に終わった伊藤有希(土屋ホーム)が、選手によっては1m後半から2m台の向かい風をもらう中、ひとりだけ追い風の条件になったように、日本勢は風の不利に泣かされる結果となった。

 高梨も、ルンビやアルトハウスと同じくらいの向かい風が吹く条件なら、「納得できるジャンプだった」と言うだけに、もっと飛距離を伸ばしてメダルの色も変わっていたかもしれない。

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