金メダル候補・渡部暁斗が強い理由が一読でわかる「深いインタビュー」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 五十嵐和博(人物)、赤木真二(競技)●写真

 当時、こう話した渡部は、そこからの4年間でどんな取り組みをしてきたのか。

「ソチが終わってある程度やり切った状態で、それが銀メダルという結果だったり、W杯総合2位という結果でした。でも何か"2番"というのが定着してしまった感もあったし、世界一になりたいという夢もあったので、ソチが終わってからは今まで通りにやっていてもしょうがないなと思って......。

 もっと自分の技術を高めるためにトレーニング方法を見直すとか、体のことをもっと知るなど、もう一歩踏み込んだところに挑戦し始めたという感じですね」

 競技の特性上、体を大きく変えるのはリスクも伴うため、今の体の状態でどれだけ技術を上げられるかを考えた。ジャンプもクロスカントリーも、それをメインとするスペシャリストの選手がいて、技術的にはある程度解明されている。

 まずは、技術を高めていくうえで、スペシャリストの選手とは違う自分の体では、どうアプローチをすべきかを考えた。体を理解することで技術も理解でき、習得できるようになる技術もある。色々試みていくうちに「自分の体で知らない部分の方が多い」ことに気がつき、「もっと自分の体を知らなければ」と思ったという。

「クロスカントリーも技術が重要で、スプリントでも力を入れるタイミングやコツをつかむことによって、スピードアップを図れたので、そこは体を変えなくてよかったと思う点です。

 やはりスピードアップを考えると、パワーが重要となって上半身の筋肉をつけてしまいがちなんです。走りを一気に変えようと思えば、ジャンプを犠牲にすればいいのですが、ひとつだけ強くなっても勝てない。それがコンバインドという競技の難しさですよね」

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