浅田真央「伝説のトリプルアクセル」を
見た記者の体はブルブル震えた
フィギュアスケート男子で銅メダルを獲得した高橋大輔 photo by JMPA 髙橋は、日本人として初めて4回転ジャンプを成功させた本田武史をコーチに迎え、1回転のジャンプを跳ぶことからスタートする。一時は歩くこともままならない状態から、ひとつずつジャンプの跳び方を調整し、2009年10月に国際大会に復帰。12月のグランプリファイナル出場を果たし、直後の全日本選手権で優勝してバンクーバーへの切符を手にした。
本番のSPではトップの2人と僅差の3位。頂点を狙ったフリーでは、冒頭の4回転ジャンプで転倒するなどミスを重ねてしまう。しかしながら、"世界一"と称される髙橋のステップに観衆は湧いた。得点を争う「競技」としての側面が強くなったフィギュアスケートにおいて、その髙橋の滑りは「芸術」としての魅力に溢れていた。
選手生命にかかわるほどのケガを乗り越え、誇らしげに銅メダルを首から提げる髙橋の姿は、それまで女子の強さが目立った日本男子フィギュアスケートの新時代を象徴していた。髙橋は4年後のソチ五輪まで現役を続けたが、羽生結弦は最高の形でそのバトンを受け取ることになる。
(ソチ五輪につづく)
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