「オリンピック休戦」の実現へ。平昌を前に考えるモスクワ五輪の悲劇 (4ページ目)

  • 木村元彦●文 text by Kimura Yukihiko  photo by Kyodo News

 アクションについて改めて長田渚左代表理事に話を聞いた。

――モスクワのことをまるでなかったことのようにして、何も語らずに2020年に向かうというのはあってはならないという考えが根底にあるわけですね。

「そうですね。未曾有の悲劇を風化させないという意味で、私たちはいろいろな場で、必ずモスクワ五輪ボイコットのことは言いたいし、負の歴史として、伝えないといけない。2020年の東京では、幻にされてしまったモスクワ五輪代表の選手の人たちに聖火リレーを走ってもらいたい」

――1993年、国連総会でも五輪休戦は採択されましたが、実質効力は薄い。今回は全世界に向けて市民の側から署名を呼びかけるのが狙いですね。

「二度とアスリートが犠牲になってはいけません。署名は平昌に持って行きますが、オリンピックが終わったら、休戦はそこまでというものではありません。そこからも継続していきます。現実的に考えてスポーツの世界において政治は無縁ではないどころか、オリンピック・パラリンピックは政治そのものというところがあるんですよ。だからこそ、こちらはこちらでコントロールして、平和を考えていかないといけないと思うんです。2020年の前に今一度、実際に五輪憲章を再読して、その理念に立ち返る必要があります」

署名はこちらから>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る