なぜ勝てないのか。高梨沙羅が自身のジャンプを分析してわかったこと (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Tomura Atsushi/Getty Images

 スキーの開きが大きく、そこで腰が入ってしまったりして、ブレーキになるような形のまま跳んでいるジャンプは着実に少なくなってきているので、続けることによってテイクオフにも厚みが出てくると思います」

 そう話す高梨がこの試合の大きな収穫としてあげたのは、2本目のジャンプで、飛型点がルンビと同じ55.5点をもらえるテレマーク着地ができたことだ。3位になった前日は52.5点と53.5点。この日の1本目は51.0点と、ジャッジからテレマーク姿勢がきちんと入っていない着地と判断されていた。

「55・5点は自分の中ではなかなかあり得ない得点だったので自信になった」という。

「今までは片方の足を前に出すことを意識してやっていたけど、それが風に対して抵抗になり過ぎて、体の後ろ側に重心がかかってしまい、結果的にテレマークが入っていないと判断される形になった。

 だから、2本目はテイクオフからテレマークにつながる動作に気をつけながら飛んだんですが、以前は『おかしい考え方かな?』と思っていた(着地)寸前に頭を前に入れて最後は倒れ込むようなイメージでいく着地を『もうやってみるしかない』と思ってやってみたら、テレマークが入ってあの得点になりました。こういうイメージで着地すればいいんだ、とわかったのも大きな収穫でした」

 男女を通じてW杯史上最多の54勝へはまだ足踏み状態で、昨シーズン最終戦から数えれば7試合連続で勝利がない。これは2011年12月から女子W杯が始まって以来、彼女自身には最長の未勝利連続記録となる。

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