トレイルランナー鏑木毅、50歳の挑戦に松田丈志はなぜ共鳴したのか (6ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi

 鏑木選手はまだまだモチベーションが燃え続けているのだろう。

このプロジェクトを応援し、見守っていく

 しかしだ。50歳にして自分の肉体を限界まで追い込み、2年の歳月をかけて、20時間以上寝ずに170kmを走り続けるレースに挑戦する努力は、33歳の私には想像がつかないし、尊敬に値する。

 これは50歳の自分の身体に魂を込めてレーニングしたらどこまでできるのか。鏑木毅さんの身体を使った、前例のない壮大な人体実験だ。

 私はその挑戦を見守り、応援していきたいと思った。それは私もアスリートを引退したからといって終わりではなく。何度でも新たな挑戦のスタートを切っていきたいと思っているからだ。

 これから鏑木さんの挑戦は「NEVERプロジェクト」と題して、SNSを通して写真や映像を中心に随時発信されていく。便利な時代になった。鏑木さんがモンブランの山奥にいてもその勇姿が見られ、こちらからもメッセージが送ることもできる。

 そのメッセージは鏑木さんに届くだろう。皆さんの送るメッセージは、鏑木選手が走り続ける想いの「総量」の一端を担えるのではないか、と私は思っている。

(鏑木毅プロフィール)
かぶらき・つよし 1968年生まれ。群馬県出身。群馬県庁に勤めていた28歳の時にトレイルランの大会に初出場し、初優勝。41歳でプロのトレイルランナーに。国内外の競技大会を制覇し、2009年、世界最高峰のウルトラトレイルレース「ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(現UTMB)では世界3位に。現在は競技者の傍ら、講演会、講習会、レースディレクターなどを精力的にこなし、国内でのトレイルランニングの普及にも力を注いでいる。

(松田丈志プロフィール)
まつだ・たけし 1984年生まれ。宮崎県出身。競泳選手として、アテネ、北京、ロンドン、リオと4度、五輪に出場。北京での200mバタフライほか、4つのメダルを獲得した。引退後はキャスターとして水泳にとどまらず、幅広くスポーツを取材。『スッキリ』(日本テレビ)、『S-1』(TBS)の番組出演やコラム執筆などで、その魅力を伝えている。

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