幻覚が襲う過酷なレースで、鏑木毅は挫折だらけの人生をリセットした (5ページ目)

  • 松田丈志●文&写真 text & photo by Matsuda Takeshi


 自分のトレイルランナーとしてのあり方を考え、トレイルランニングに出会った頃の自分が抱いていた想いに立ち戻る。

「俺はタイムや順位を求めてトレイルランニングを始めたわけじゃない。楽しんでやっていたはずだ。トレイルランニングを始めた頃のワクワクする気持ちを忘れずに走ろう」

 再び、そう心に誓った。

(つづく)

(鏑木毅プロフィール)
かぶらき・つよし 1968年生まれ。群馬県出身。群馬県庁に勤めていた28歳の時にトレイルランの大会に初出場し、初優勝。40歳でプロのトレイルランナーに。国内外の競技大会を制覇し、2009年、世界最高峰のウルトラトレイルレース「ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(現UTMB)では世界3位に。現在は競技者の傍ら、講演会、講習会、レースディレクターなどを精力的にこなし、国内でのトレイルランニングの普及にも力を注いでいる。

(松田丈志プロフィール)
まつだ・たけし 1984年生まれ。宮崎県出身。競泳選手として、アテネ、北京、ロンドン、リオと4度、五輪に出場。北京での200mバタフライほか、4つのメダルを獲得した。引退後はキャスターとして水泳にとどまらず、幅広くスポーツを取材。『スッキリ』(日本テレビ)、『S-1』(TBS)の番組出演やコラム執筆などで、その魅力を伝えている。

◆山の神・柏原竜二が語る引退の真相。「駅伝に逃げてはいけないと...」>>

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る