45歳の葛西紀明、W杯で失速ジャンプ続きでも「余裕の表情」なわけ (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 日本チームの横川朝治ヘッドコーチ(HC)も葛西と同じく、「拓から陵侑のところは最悪のところ(タイミング)でしたね。ウインドファクターにもつかない風でどこから吹いているかもわからない状態でした。葛西は2本目と予選に悪い風が2本も当たったけど、本来のジャンプは1本目のジャンプなので、そんなに心配することはないです」と楽観視していた。

 その言葉通り、悪くない状態は翌日のラージヒル団体で確認できた。3番手で出場した葛西の1本目はグループ5位の127.5mだったが、ウインドファクターは追い風となる条件。横川HCが「葛西の1本目は巻き風になっているすごく難しいところを飛んでいるので。飛距離としてはさほどではないが、逆にあの難しいところをうまく通過できたのは、葛西選手ならではかなという感じもします」と高く評価するジャンプだった。2本目も陵侑が2位に上げた順位を維持する133.5mのジャンプで最後の潤志郎につないだ。

「昨日のジャンプがあるから、ちょっと不安なまま試技を飛んだんですが、これだけ安定した条件であれば、いけるなと。1本目は前に飛んだイエルネイ・ダミアン(スロベニア)の調子がいいようだったので、彼とどのくらいの差があるか確かめながら飛びました。ポイントは3.6点差だったけど、追い風の中ではいい方のジャンプだったなと思います。でも、まだ納得のいくジャンプではなかったので、2本目の前にヤンネ・バータイネンコーチと宮平秀治コーチに聞いたら、助走で少し尻が低くなってしまっていてスピードが出なくなっていると言われたので、それを修正するなど少しずつ飛べるように調整しています」

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