45歳の葛西紀明、W杯で失速ジャンプ続きでも「余裕の表情」なわけ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 始まった公式練習で、葛西の1本目は弱い向かい風の中138.5mの大ジャンプを見せた。小林陵侑(りょうゆう/土屋ホーム)が141.5m、竹内択(北野建設)も140mと、飛距離上位3位までを日本勢が占めた。これで不安が吹き飛んだかに思えたが、葛西の2本目は76mの大失速ジャンプになってしまう。悪い流れを断ち切れず、前述したように予選では82mと散々な結果になった。

「(公式練習の)2本目で悪い風に当たったから、予選は大丈夫だと思っていたんですけどね。飛び出した付近が突風みたいな追い風で......。防風ネットでガードしているけど、その上から叩きつけるような追い風になったんです。1本目のときはそれが少し弱かったからうまく乗り越えられたけど、2本目は思い切り横から吹いてきて、3本目は上からだったから。ジャンプはこっちへ来てからよくなっていただけに悔しいですね。初戦のポーランドからここまでは、当たり外れのあるジャンプ台だから嫌な予感がしていたけど、それが的中してしまったので腹が立ちます。ノーポイントで日本に帰らなくてはいけないのは、本当に残念です」

 11月5日に大倉山で、冬用の氷のレーンを使用して行なわれた日本選手権ラージヒルでは好調な小林潤志郎(雪印メグミルク)を抑えて優勝するなど、葛西は冬シーズンへ向けて調子を上げていた。開幕戦のヴィスワ大会では、ツキに見放されて2本目に進めなかったが、ルカ大会に入ってからは助走姿勢を修正して手応えを感じていたという。

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