渡部暁斗が今季初V。
「ぬるい勝利よりバチバチ戦うレースがしたい」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 こう言って笑みを見せる渡部の人生最初のW杯初勝利は、2012年2月のイタリア・バルデフェイメ大会だった。そのシーズンにW杯総合2位になって以来、常に総合上位に食い込むようになり、総合2位3回、総合3位3回と成績を残していたが、1位の壁は厚く、抜け出せないもどかしさを感じ続けてきた。それが、今季は開幕戦の3位に続いて1位。第2戦終了時点で初めてW杯総合のトップに立ったのだ。フラワーセレモニーで総合1位の選手だけが着ることのできるイエロービブを身にまとった渡部はこう話す。

「イエロービブを着るのは初めてだし、自分でこれを着ることができたというのは、ひとつ壁を破れたんじゃないかと思います。もちろんシーズン途中から調子を上げて、これを着ることができてもいいですが、最初の大会でこれを着るのは勢いがないとできない。その意味でも、これまでとはまた違った自分を見せられたと思います。自分が予想していなかった部分もあるけれど、これをシーズンの最後まで着ているということに意味があると思うので......。途中で失ってもいいけど、最後にこれを着ていられるように、気を抜かないでシーズンを戦えればいいなと思います」

 渡部は、「ケガが治って体調が戻り、もっとパワフルな走りができるようになればもっと面白い戦いができる」と今シーズンに自信をのぞかせる。

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