渡部暁斗が今季初V。
「ぬるい勝利よりバチバチ戦うレースがしたい」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 11月23日からフィンランドのルカで開催されたノルディックスキーワールドカップ複合(コンバインド)個人第2戦で、渡部暁斗(北野建設)が今シーズン初優勝を飾った。

 前日の開幕戦では、ジャンプの際に追い風を受けるなど、恵まれた条件ではない中で3位だった。続く、第2戦グンダーゼンラージヒル10kmのジャンプでは風も穏やかになり、安定した向かい風で風速差も秒速0.74m差におさまる、ほぼ全員同等のコンディションになった。その中で渡部はヒルサイズ(142m)超えの142.5mの大ジャンプを見せてトップに立つ。

今季初優勝で笑顔を見せた渡部暁斗今季初優勝で笑顔を見せた渡部暁斗「僕が今求めているのは、コンバインドでトップを取れる以上のジャンプ。だから求めているレベルのものではなかったですが、それなりにいいジャンプができました。16秒というのは大きい差なので、逃げモードに入りつつ後ろの様子を見ながら走りたいですね。とりあえず自分の走りのリズムを作るのが先決だと思います」

 こう話して臨んだ、後半のクロスカントリー10kmは2位に16秒差をつけてスタートした。前半のジャンプで2位から5位までにつけた選手はクロスカントリーを得意としていないため、渡部は1.1km関門では追走集団との差を広げていた。

 その後、36秒差でスタートしたヤン・シュミット(ノルウェー)や50秒差でスタートのヨハネス・ルゼック(ノルウェー)が、1周目(2.5km)を終えた時点でそれぞれ24秒9差と38秒2差まで追い上げてきた。しかし次の周回に入ると、ルゼックがすぐ後ろに迫ってきたこともあってシュミットが抑え気味になり、渡部との差は30秒台半ばで膠着状態となる。

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