筋肉が腫れ上がってからが勝負。クライミング野口啓代がW杯最終戦へ (4ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「リードに慣れていないとクリップで消耗したり、ミスしたりします。私は、いまはボルダリングをメインでやっていますけど、子どもの頃からリードをやってきたので、その不安はないです。ただ、ボルダリングもそうですが、特にリードは前腕がパンプ(筋肉が腫れ上がること)してくると、頭までパンプする感じになって、視野が狭まり、判断も遅くなる。そうなるとミスをしやすいので、スタートから核心部までは、登り方やクリップで消耗しないようにするのが重要ですね」

 クライミング未経験の方は、腕を前方に伸ばして手指で50回ほどグー・パーを繰り返せば、前腕のパンプがどれほどキツイかを体感できる。その状態になってから手数をどれだけ稼げるかでリードは成績が大きく変わる。

「結局は最後のところで選手それぞれが、どれだけその大会に思い入れを持ってトレーニングを積んできたかが表れますからね。今シーズンは若いヤーニャの勢いや成長がすごいし、同世代のジャインからはモチベーションの高さが伝わってきて刺激をもらっています。その彼女たちを上回る強い意気込みで、クラーニ大会は自分のベストパフォーマンスを発揮したいと思っています」

 今季のリードWCでは、すでにスロベニアの18歳の若き女王ヤーニャ・ガンブレットが2年連続の年間王者を決め、自国開催のクラーニ大会初優勝でシーズンの有終の美を飾ろうと表彰台の中央に照準を絞っている。

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