【月刊・白鵬】休場中に断食で10kg減。4横綱そろう九州場所で復活へ (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 しかしそんな中、昨年の秋場所で全勝優勝を果たした大関・豪栄道が大いに奮闘。加えて、若手注目株の阿武咲(おうのしょう)や貴景勝ががんばって、土俵を盛り上げてくれました。

 そして、終盤戦に突入すると、激戦の優勝争いは一層熾烈さを増しました。13日目に豪栄道が3敗目を喫したことで、4敗の横綱・日馬富士、前頭16枚目の朝乃山とは1差となり、その後の展開次第では5敗で追う力士を含めて、10人を超える力士に優勝の可能性があるという、波乱の展開となりました。

 まさに稀(まれ)に見る大混戦となりましたが、千秋楽を迎えると、優勝の行方は3敗の豪栄道と4敗の日馬富士に絞られ、両者が結びの一番で直接対決することになりました。日馬富士が勝てば、決定戦に持ち込まれるという状況の中、横綱がその強さを見せつけました。圧倒的な寄りを見せて勝利を挙げると、その勢いに乗って決定戦でも圧勝。見事、逆転優勝を飾りました。

"ここ一番"という場面で、抜群の集中力を発揮する日馬富士。その強さを知っている私としては、本割の前から「もしかしたら、逆転優勝があるかも......」という予感はありました。4敗を喫した時点では、すでに「優勝」の2文字は日馬富士の頭の中から消えていたかもしれません。しかし、最後まで諦めずに粘り強い相撲を見せて、土壇場で横綱らしい強さを誇示。本当に素晴らしい逆転優勝でした。

 休場した私たちの分まで、日馬富士は横綱の責任感というものを示してくれたのではないかと思っています。彼のがんばりには私も勇気づけられ、1日でも早く土俵で戦いたい、という思いに駆られましたね。

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