男子と同じ練習の小平奈緒。「女子を超えた究極のスケート」で五輪へ (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

「今の課題はマイペースを崩さないということ。五輪もW杯もタイムトライアルもリンクで滑るということは変わらないし、大会名が変わるだけ。自分の中では滑ること以外は考えることもないので、気負うことなく究極の滑りを追求するだけです。だから、いいタイムが出たからといって『今がピーク』という考え方より、本当に1戦1戦積み上げていった上で、まだその先があるという過程に平昌五輪があるという考え方でいきたいと思います」

 小平は以前、平昌五輪について「これで準備ができたな」という状態ではなく、ひらめき続けて勢いを持ったまま駆け抜けたいと話していた。06年トリノ五輪の1500mで優勝したシンディ・クラッセン(カナダ)が、その後のW杯の3000mで世界記録を出したようなイメージで、その思いはまったくブレていない。

「やっぱり環境が人を変えるのだと思いますね。男子と一緒に練習をさせてもらうと、本当に高いレベルで高い意識を持っていないとついていけないので。そうしていることで自然に意識が変わった。スケート選手として、スケート人生の中で誰よりも速く滑りたいというのはみんなが持っていることだと思うので、誰かに勝ちたいというよりもどんな滑りができてどんなスピードが出せるのかを......。それでゴールしたあとに観客のどんな顔が見られるのかというのが自分の中では楽しみです。自分が何かゾクゾクとするようなレースができたら、このうえなく楽しいスケートになるのかなと思います」

 そう言って明るい笑みを浮かべる小平に、気負いはない。マイペースで自然体のまま五輪シーズンに臨もうとしている。

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