男子と同じ練習の小平奈緒。「女子を超えた究極のスケート」で五輪へ (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 そんな変化はウォーミングアップのストレッチの中でも見えた。感覚としては、「しなやかさにつながるエクササイズです。そのしなやかさが氷に伝わるのはもちろん、それが手の指先まで行ったり来たり、体の中を流れているようにしたいと考えています」と説明する。男子とのパワーや体格の差を、体全体をしなやかに大きく使うことで補おうという考えだ。

 小平が「自分が元々持っているものがすごく生かされる道具。いいタイミングでいい巡り合いができたという感じ」と言う、昨シーズン中の1月から替えたブレードも今の滑りを支えている。結城コーチはこう説明する。

「進み方がぜんぜん違って、ひとりだけ追い風が吹いている感じ。運よく気に入ったブレードとめぐり合えた昨季の1月以降は、そういう滑らかさがありました。氷に刃がついている時間が長くなったことで、力を伝えられる時間も長くなり、スーッと抜けるつなぎの部分も滑らかになりました。全力だけど、しなやかな感じになったと思います。それを昨シーズンの後半に体験できた上で陸上トレーニングに入れたので、力強さだけではなく、体の捻りをもう少し大きくしようというところに結びついた感じです」

 春の陸上トレーニングの段階から昨シーズンの続きのような感覚があったという小平は、昨季の好成績で積み上げてきたものをリセットすることなく、そこからさらに進化している感覚を持ってシーズンを迎えようとしている。それでも平昌五輪へ向かう気持ちは冷静だ。

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